カレーパンが好きだという話

俺はカレーパンがとても好きだ。

パン屋に評価を下すときなんかも、まずその店のカレーパンを食べてから判断する。「カレーパンが美味ければ他の商品にも期待できる」という具合に。かといってめちゃくちゃマニアというわけではなく、世に溢れるカレーパンを食べ漁ってきたわけではない。俺のカレーパン愛が伝わっただろうか。

カレーパンが好きな理由はたくさんある。

それらは多くの人も同じように感じているものと思われるので全ては書かないが、あえて一つ挙げるとするならば「冷めても美味い」という点だ。

パン屋では必ず出来立てのパンを手に取れるわけではない。種類によっては本来の魅力を大いに失った状態で食されるものもある。

俺も出来上がりからしばらく時間が経ってしまったパンを食べたことは何度もあるが、カレーパンはそんな状況下においても、ちゃんと一定のパフォーマンスを発揮してくれる。ポテンシャルがハンパない。

ましてやカレーパンは時間による影響を受けやすい「惣菜パン」だ。にも関わらず高い品質保持力を持ち合わせている。

その屈強さといえば、シンプル蒸しパンと双璧をなすほどではなかろうか。(いや、でも、焼きそばパンとかも惣菜パンじゃけど冷めても普通に美味ぇわ。じゃあ今書いていることは一体何なんだ。)

もちろんカレーパンも揚げたては美味い。が、そうでなくても一向に構わないと個人的には考える。

もっといえば、カレーパンには冷めた状態でないと味わえない風味もあると思っているので、「ただいまカレーパンが焼き上がりました~!どうぞお試しください~!」と差し出されても、特別テンションが上がったりはしない。というか、揚げたてのものと冷えたもの両方が欲しくなってしまうので、選択肢が増え、逆に頭を悩ませてしまう。

また、パンをテイクアウトするとなると、食べる前に温め直すという人もいるだろう。そりゃ特別に外で買ってきたパンだ。なるべくなら美味しく食べたい。そういう感情はごく自然に発生するものであって、その行動におかしな点はどこにもない。

ただ、家で温め直したところで果たして本当に良好な結果を得られるのだろうか。損なわれた品質が蘇るとまでは思わないが、むしろ更なる劣化を招いてしまって余計に美味しく食べられなくなる可能性もある気がする。オーブンを使うのかレンジを使うのかでも運命は大きく変わってしまうし、ヘタに手をつけないほうがいいのではないか。

そんな考え方をする俺は、パンをテイクアウトしても積極的に再加熱することができない。その点、カレーパンは出来立てである必要がないので安心して食べられる。

要するに、テキトーでいいという点に惹かれているのだ。テキトーに食べても美味い。カレーパンは最高のグルメであり、最高のファストフードでもある。

さて、ここで俺が好きだったカレーパンを紹介しよう。それはセブンイレブンの「もっちりカレーパン」だ。

なぜ「好きだった」と書いたのか。気になる人もいると思うので理由を説明する。この「もっちりカレーパン」、なんと211付の商品リニューアルに伴い、手に入らなくなってしまったのだ。

ショック過ぎる。

嫌な予感はしていた。その証拠がこれだ。

こんなことってあるのかよ。リニューアル前日のツイートだぜ。もしかしたら俺がこのツイートしなければ悲劇は起こらなかったかもしれない。そんなパラレルワールドがあるのなら、俺はそっちの世界で生きていたい。畜生。

セブンイレブンのカレーパンは昔から食べ続けているが、この「もっちりカレーパン」を初めて食べたときのことは本当によく覚えている。あまりにも衝撃的だったから。

それまで俺が好きだったカレーパンといえば、まず、中のカレーは欧風で色が濃いタイプのもの。そして生地は衣がザクザクした感じのやつだった。

「もっちりカレーパン」はどんなものだったかというと、何とその全てが逆なのである。これまでもマイナーチェンジしていった商品を数多く見てきたが、満足いく変化を見せてくれたことはほとんどなかった。しかし、「もっちりカレーパン」が見せたのは単なるマイナーチェンジにとどまらない革命的な進化であり、それまで俺の中にあった美味いカレーパンの概念を一掃してしまった。

まず、その名の通りパン生地の食感はもっちり度合いが強く、衣がザクザクしていない。中のカレーは欧風ではなく、日本の一般家庭で出てくるものに似ていて、食べているとノスタルジックな感情が湧いてくる。

何より特徴的だったのは、中に福神漬けが入っていたことだ。生地のモチモチと福神漬けのコリコリが生み出すリズミカルな食感は唯一無二で、口の中に懐かしさと新しさが一気に溢れる。いつものカレーパンだと思って無用心でいると、突如襲ってくるミスマッチな感覚に驚かされるが、それが実に心地いい。

令和が生んだ味のパラドックスや~。

もしかしたら俺が知らないだけで福神漬けが入ってるカレーパンなんて普通にあるのかもしれない。それならカレーパン好きを公言するのも少し気が引けるが、どっちにしろコンビニでこんなパンが買えるなんて最高じゃないか。

初めて食べたその日からはもう「困ったときはもっちりカレーパン」という感じで、頻繁に食べるようになっていた。

なぜ、リニューアルされてしまったのか。どうやらこの福神漬け入りのカレーパン、賛否がはっきり分かれていたらしい。調べてみると、確かに美味しいという人はこの上ないほど絶賛しており、不味いという人はこれでもかとこき下ろしていた。

「いつものカレーパンだと思って食べたら福神漬けが入っていて吐いた。最悪」というレビューもどっかで目にした。

そのレビューを見たとき俺は、「いつものカレーだと思って食べたんですよ。そしたら何をどうやっても辛かった。頭来てテーブルひっくり返して帰っちゃいました」と言ったYOSHIKIを思い出した。もしYOSHIKIがもっちりカレーパンを食べていたらどういう行動に出ただろう。

そんなこんなで、開発陣は割と短期間のうちに福神漬けを排除するという決断を下したようだ。妥当なリニューアルだという意見のほうが多いのか、はたまたガッカリしたという意見のほうが多いのか。

ちなみにリニューアル後の商品名は「やみつきになる!スパイス香るカレーパン」とのこと。ザ・カレーパンといった感じのド定番のものに戻っているらしい。

俺も「もっちりカレーパン」に出会う前はスタンダードなカレーパンが好きだった。

なので今、とても複雑な心境でいる。

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