人生は上下だ #1「時間に支配されてしまった友」


 Q.効率の良し悪しに過敏な友人がいて困ってます。この間は「エアコンの予約タイマーを入れ忘れたから、家に帰ったら凍えなきゃいけない」と言って終始落ち込んでいて、その場の空気まで悪くなってしまうほどでした。「凍えなきゃいけないから何なんだ」と思いましたが、もう彼とは縁を切った方がいいでしょうか? (洗濯物を1週間干す男・24歳)

A.そんなことで場の空気が悪くなるほど落ち込む人は私の周りにはいませんが、「一瞬のスキマ時間もムダにしない。ムダにしてしまえば呪いにかかって死んでしまう」とでも言わんばかりに時間に囚われている人、いますよね。私の体験談ですが、某テーマパークを1日で全制覇しようとする人は見たことがあります。「〇〇時からパレードがあるからそれまでにあのアトラクションに乗って、パレードはだいたい〇〇分間で終わるからそれを見越してあのアトラクションのファストパスをとって花火が何時からあるからそれまでにナントカカントカ」言いながら、その顔は物凄い形相を呈していて引きました。目的の相違を痛感しました。

しかし、人間は他の動物とは違い特別な文明を築き上げ、その下で暮らしています。ある程度時間を上手く使えないと周りに置いてけぼりにされてしまいます。電車の切符を買うとき、カラオケや漫画喫茶に入店するときは、予め小銭なり会員証なり準備しておかないといけないようです。「私はそういうの面倒くさいからSuicaを利用している」という人でも、改札で残高不足に遭いピンポンを鳴らしてしまうと、背後にいる大勢の人たちからデカめの舌打ちを喰らいます。何発も。

小さな子を持つお母さんなんかはまさに時間との戦いです。ただの戦いなんてもんじゃない「ガチンコ勝負」です。例えるなら、総合格闘技大会プライドの歴史において、今も燦然と輝く名試合「高山善廣 VS ドン・フライ」のまさにあれです。

効率以外に何の価値も生まれない瞬間がこの世にはあるようです。なのである程度は見逃してあげましょう。大事なのは線引きをすることですが、どこで線を引けばいいのか私がアドバイスをしてあげます。

「麦茶を沸かす間に必ず食器を洗う」

これくらいは許してあげましょう。

「朝起きてトイレに行って体重測る前に必ず食パンをトースターにかける」

これも許容範囲です。

「うんこと歯磨きは必ず同時にする」

これは完全にアウトです。デンジャラスメーターが振り切って壊れます。

まず、手に力を入れればいいのか肛門に力を入れればいいのか分かりません。そんなことで歯を綺麗に磨けますか?そんなことでうんこは全部出ますか?お尻を拭くときはどうするんですか。歯ブラシをくわえたまま拭くんでしょうけど、そりゃあんまりじゃないですか。

歯磨きというのは清潔感を保つ作業です。なのに、その途中でウンコしてどうするんですか。何をどうしても見逃すことはできません。

もっと言えば、ユニットバスも本当ならダメです。シャンプー中も便器がすぐそこにあることを考えたら、頭の中にうんこが過ぎるかもしれません。それって悲しすぎませんか。どんな生き方をすればそんな突飛な発想ができるのか、外人のこの辺の感覚がいつになっても全く理解できない。

「今日朝うんこするとき歯磨きするの忘れたんだよね」って落ち込む友人、あるいは「今日朝うんこするとき歯ブラシ忘れたからもっかい洗面所に歯ブラシ取りに行った」と時短アピールしてくる友人がいるなら、もう縁を切った方がいいでしょう。

あまり時短に囚われていると大怪我してしまうこともあります。私もかつてうんこがしたくなったとき「トイレに入る前にヤカンに火をかけてお湯を沸かしておこう」と時短を図ったことがあるのですが、うんこに集中しすぎてお湯を沸かしていることをすっかり忘れてしまい、危うく大火事になりそうになったことがありました。気付いたときはヤカンは完全に空焚き、柄の部分がマグマ化していました。

このように時短は時に命を落とす危険を招くこともあるので気をつけましょう。


 

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